丸子舟は但馬地方で使われていた和船で、元禄年間に湊宮の船大工佐伯兵衛が開発したとの記録が残っている。
材料や技術指導など、特定非営利活動法人わくわくする久美浜を作る会の協力の下制作が実現した。
久美浜の船大工、吉岡光義氏の知見を得たことは制作の大きな助けとなった。
東稲葉家の制作小屋
制作小屋の脇には栃谷川が久美浜湾へと流れている。
トダテ(船尾隔壁)が湾曲しているのが特徴的である。
ミヨシ(船首)材の荒取り。
カワラ(底板)の曲げ作業。
焼き矯めが終わったカワラ(底板)。相刃擦りし、シキ(底板)の板矧ぎへと進む。
板矧ぎが終わったカワラ(底板)
相刃擦りによって水密が保たれる。
カワラ(底板)を据える。型板を合わせ湾曲をさらに調整する。
カワラ(底板)とトダテ(船尾隔壁)の接合部も相刃擦りで水密を保つ。
ミヨシ(船首)材の切り出し。
ミヨシ(船首)、カワラ(底板)、トダテ(船尾隔壁)が組み上げられた時点で、制作の無事と優れた舟の完成を願い神事を執り行う事もある。
型板を使い、中棚の寸法と形を計測する。
型板から切り出し線を写し、中棚を切り出す。
なだらかな曲線を引くために、シナイと呼ばれる細く歪みの少ない角材を使用する。
切断の終わった左右の中棚。
中棚も焼き矯めし、曲げる。
中棚をツカセと呼ばれるつっかえ棒でカワラにあてがう。
中棚に引き続き、上棚の型取り。
型板から切断線を写し、切断する。
上棚の焼き矯め。型板を使いRを合せる。
「サヨリ口」と呼ばれる道具。中棚の上端曲線を上棚下部に転写し、接合面を得る道具。
相刃擦りを終え、中棚と上棚の接合に備える。
上棚上端に設けられた段差。舟を大きく傾けた際に、この段差で転覆を防止するという。
上棚を接合する。
上棚と中棚の接合断面実寸図。舟釘の曲げ加減と通りを検討する。
櫓床を取り付ける。
舟梁の嵌め殺し部分。
外部の接合面の角は大きく面を取り、丸くする。
節は漏水の原因となるため、共木で埋める
2018年春から断続的に作業し、6月初旬に完成。
内部に水を張り、漏水の有無を確認する
2018年8月19日に進水式と体験乗船会を開催協力NPO「わくわくする久美浜をつくる会」
兜山を背景に、4槽の丸子舟が浮かぶ